
JR西日本は10月29日、輸送密度2000人/日未満のローカル線32線区について、2022~2024年度の3か年平均による線区別収支率などの経営状況を公開した。19路線32線区が対象となる。
公開されたデータによると、最も経営状況が厳しいのは芸備線の東城~備後落合区間で、線区営業係数が9945となった。これは100円の収入を得るために9945円のコストがかかることを意味する。同区間の収支率はわずか1.0%で、平均通過人員は19人/日にとどまる。
次に厳しいのは芸備線の中国勝山~新見区間で営業係数4510、収支率2.2%。平均通過人員は99人/日となっている。芸備線の備中神代~東城区間も営業係数2692円、収支率3.7%と厳しい状況だ。
一方、ローカル線32区で最も収支状況が良いのは播但線の和田山~寺前区間で、営業係数299、収支率33.5%となった。平均通過人員は1083人/日で、他の線区と比較して利用者数が多い。
1987年度と2024年度の平均通過人員を比較すると、ほぼ全ての線区で大幅な減少が見られる。最も減少率が大きいのは芸備線の東城~備後落合区間で、1987年度の476人/日から2024年度は19人/日へと96%減少した。
山陰線では複数の区間が対象となっており、城崎温泉~浜坂区間は営業係数890円で収支率11.2%、出雲市~益田区間は営業係数536円で収支率18.7%となっている。
小浜線の敦賀~東舞鶴区間は営業係数736円、収支率13.6%で、1987年度の2712人/日から2024年度は923人/日へと66%減少している。
2022年度から開示
同社は2022年度から、地域と各線区の現状や課題を共有することを目的に、利用状況が低迷するローカル線の経営情報を開示している。輸送密度2000人/日未満の線区について、大量輸送という鉄道の特性が十分に発揮できていないと判断し、地域と共に最適な地域交通体系を創り上げる必要があるとの考えを示している。
同社では、こうした線区について「地域の皆様と将来にわたり利用しやすい最適な地域交通体系を創り上げていく必要がある」としている。
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