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JPXとAWS、日本の金融分野における高信頼クラウド活用に向けた取り組みを説明 – CNET Japan



JPXとAWS、日本の金融分野における高信頼クラウド活用に向けた取り組みを説明 - CNET Japan

 日本取引所グループ(JPX)とアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は、日本の金融商品市場で求められる高信頼性を実現したクラウド活用の取り組みについて説明会を開いた。AWSでは10月に世界的なサービス障害が起きたばかりだが、JPXは日本の金融商品市場の国際競争力強化に向けて、AWSとの緊密な連携が重要だと説明している。

 説明会の冒頭では、米Amazon Web Services(AWS) グローバル金融事業統括責任者のScott Mullins氏が金融分野におけるAWSの採用状況を説明した。AWSは約20年にわたり金融向けサービスの強化に取り組み、現在は銀行勘定系や株式などの超低遅延取引、保険請求処理、デジタル資産など広範なサービスで採用されている。株式取引では、米Nasdaqとのパートナーシップが有名だが、JPXにおいても「arrownet」をAWSと接続しているほか、JPXの共通クラウド基盤「J-WS」やJ-WS上で稼働するデータ蓄積基盤「J-LAKE」がAWS上に構築されている。

金融業界システムでのAWS採用例
金融業界システムでのAWS採用例

 Mullins氏は、極めて高度な信頼性や安定性を絶対的な要件とする金融分野でのクラウド採用を促進すべく、世界中の金融パートナーと協調しながら理解と学習に取り組んできたと述べる。その実績の一例が上述の採用ケースになるが、従来の金融サービスのみならず、現在は投資家などに向けた多様なデータの提供や不正取引リスクの監視といった新たなサービス提供も拡大していると述べた。

 日本での取り組みでは、AWSジャパン 常務執行役員 金融事業統括本部長の鶴田規久氏が、東京と大阪の2つのリージョンにおいて複数データセンターによりサービスの冗長性を確保する「アベイラビリティーゾーン」(AZ)の拡充など、特に日本でリスクの高い自然災害を考慮した事業継続性の担保に努めてきたと説明した。

 またAWSジャパンは、2030年を目標とする「Vision 2030」を3月に発表。金融分野で戦略領域への投資拡大や新規ビジネスの迅速な立ち上げ、イノベーション人材の育成、レジリエンス(しなやかな回復能力)のさらなる強化を標榜し、投資やイノベーションでは生成AIの活用促進、レジリエンスではシステム障害やサイバー攻撃などからの迅速な復旧を重点としている。さらに、これらをITシステムレベルで取りまとめた「金融リファレンスアーキテクチャ日本版」の提供や、セキュリティインシデントに対応する「AWS Incident Detection and Response」の構築など、日本の金融分野の要件に対応する支援体制を整備しているとした。

AWSは日本の金融業界要件に対応した各種情報を提供している
AWSは日本の金融業界要件に対応した各種情報を提供している

 AWSユーザーとなるJPXは、事業の信頼と安定の確保と拡大に向けてAWSと緊密なパートナー関係を築いているという。JPX 常務執行役 CIOの田倉聡史氏は、2030年を目標とする経営ビジョン「Target 2030」でグローバルな総合金融・情報プラットフォームを目指し、3カ年ごとの中期経営計画(中計)で段階的にその取り組みを進めていると説明した。

 2024年までの中計ではarrownetとAWSの接続などが具体施策になり、JPXが保有する膨大なマーケットデータを外部に提供するJPX総研を2022年に設立したほか、脱炭素関連取引のカーボンクレジット市場創設といった成果があった。2027年までの現在の中計では、AIとクラウドのさらなる活用に基づくデシタル変革を推進し、Target 2030の目標達成に向けたプラットフォーム化を促進している。

 田倉氏は、日本の金融機関がミッションクリティカル領域にクラウドを採用する上で最も重視されるのは説明責任だと述べる。投資家をはじめとするステークホルダーや金融庁など規制当局への対応において、仮にクラウド事業者側に起因する問題が生じてもサービス提供主体であるJPXとして説明責任を果たすことが重要だという。

JPXにおけるAWSとの連携例。万一のクラウド側の障害でも顧客へのサービス提供主体となるJPXが説明責任を果たす体制を構築しているという
JPXにおけるAWSとの連携例。万一のクラウド側の障害でも顧客へのサービス提供主体となるJPXが説明責任を果たす体制を構築しているという

 そのためJPXは、AWSジャパンと連携してワークショップやディスカッションを通じたコミュニケーションを密にするだけでなく、要件などの明文化や米国本社とのコンセンサスを図り、人材育成にも取り組む。現在ではJPX職員がAWSの資格を取得してワークショップで講師を務めるレベルにあるとのこと。これにより、上述のAWS Incident Detection and Responseの日本サービスの実現といった成果が生まれているとした。

 JPXは同日、新たに上場企業の適時開示情報プラットフォーム「TDnet」をAWSで構築することを発表した。さらに、2027年度の稼働を目標に、取引所業務での重要機能をフルクラウド化することも明らかにした。田倉氏はまた、構想段階と前置きした上でJ-LAKEのデータを証券会社のバックオフィス業務向けにも配信し、業界全体でのさらなる業務効率化にも貢献したいとの考えを述べた。

 現在では企業や組織のビジネス、社会へのサービス提供でクラウドが広く採用されているが、極めて高度な信頼性や安定性が要求される金融業界での採用には、AWSやJPXが説明したような緊密な連携が鍵を握る。

 田倉氏によれば、JPXをはじめ国内の金融機関は自然災害やシステム障害、サイバーセキュリティなど多様なリスクに備えながらグローバルにビジネスを展開する必要がある一方、国内各機関の独自対応では既に限界があるため、グローバルなクラウドサービスの活用・連携が必須だという。

日本での金融とクラウドの取り組みを説明したJPXの田倉聡史氏(中央)、AWSのScott Mullins氏(右)と鶴田規久氏(左)
日本での金融とクラウドの取り組みを説明したJPXの田倉聡史氏(中央)、AWSのScott Mullins氏(右)と鶴田規久氏(左)

 10月のサービス障害においてもAWS側が迅速な復旧や顧客に対する詳細な説明責任を努力したとし、複数AZの構成により冗長性を確保している金融関連サービスでの影響が軽微だった結果も明らかになった。とりわけサイバーセキュリティリスクへの対処は喫緊の課題であり、将来の量子コンピュータがもたらす既存暗号技術の実質的な無効化リスクの可能性にも耐量子暗号の導入を含めテクノロジーパートナーとの連携が必須との見方を示した。

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