
約2億2500万km離れた火星にいる米航空宇宙局(NASA)の探査車「Perseverance」の進路を計画するのは、地球上で「Googleマップ」に住所を入力して出発するのとは比較にならないほど困難だ。通常、NASAのジェット推進研究所(JPL)のチームが地形や障害物、潜在的な危険を考慮して進路を策定している。これは、探査車の横転や損傷を防ぐためだ。
今回、JPLは初めてPerseveranceの進路策定にAIを活用し、その試みは成功を収めたようだ。
12月8日と10日の2回にわたって行われた実証実験では、AnthropicのAIモデル「Claude」が進路を策定した。誤って探査車を溝にはまらせることがないよう、JPLがダブルチェックを行っている。Perseveranceは2回の走行で計456mを走り、報告された問題はない。
NASAは、人間がオペレーターを務める場合と同様のアプローチでウェイポイント(経由地)を策定した。JPLの科学者が使用するのと同じ「Mars Reconnaissance Orbiter」からの衛星画像やデータをClaudeに提供し、Perseveranceが安全に走行できるウェイポイントの策定を指示した。
生成された経路はNASAによって微調整された後、Perseveranceに送信された。その後、探査車は自律的にその経路を走行した。
「この実証実験は、われわれの能力がいかに進歩したかを示すものであり、他の惑星を探索する方法を広げるものだ」と、NASAのJared Isaacman長官は述べた。「このような自律技術は、ミッションの効率的な運用や困難な地形への対応を助け、地球からの距離が離れるにつれて科学的成果を増大させる。これは、チームが実際の運用において、新しいテクノロジーを慎重かつ責任を持って適用した強力な例だ」
12月10日の走行の様子は、NASAのYouTubeチャンネルで公開された52秒の短縮動画で視聴できる。
より効率的な手法へ
AIは、インターネット体験を急速に悪化させる「slop」(質の低いコンテンツ)の生成源として広く知られているが、科学的な追求においては有用な場合がある。何年分もの画像やデータを解析し、Perseveranceのウェイポイントを策定して実行に移すには、多大な時間を要する。
NASAによると、ウェイポイントは通常100m以内の間隔で設定される。つまり、Perseveranceはアメリカンフットボールのコート1面分ずつ、火星を探索していることになる。2024年に行われたジェゼロ・クレーターからの壮大な登頂を例に挙げよう。この旅には3.5カ月を要し、合計で約500mの標高を登り切った。2025年12月の時点で、この探査車は約4年間で計約40kmを走行している。
JPLの宇宙ロボット工学専門家であるVandi Verma氏によれば、目標は「オペレーターの作業負荷を最小限に抑えつつ」、Perseverance(および他の火星探査車)をより遠くまで移動させることだ。
Verma氏は、AIを使用して火星上の興味深い特徴にフラグを立てることも可能だとしている。これにより、人間による科学チームが「膨大な量の探査車画像」を手作業でチェックする必要がなくなり、時間の節約につながるという。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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