
ロケットや衛星を手掛けるSpaceXは、人工知能(AI)開発企業xAIを買収したと発表した。Elon Musk氏が率いる両社の統合により、宇宙のデータセンター建設を目指すという。
Musk氏は発表の中で、この統合によりSpaceXは「AI、ロケット、宇宙ベースのインターネット、スマートフォンとの直接通信、そして世界最高峰のリアルタイム情報および言論の自由のためのプラットフォームを備えた、地上(および地球外)で最も野心的かつ垂直統合されたイノベーションエンジン」になるとしている。
この買収をいち早く報じたBloombergによれば、SpaceXは株式公開を計画しており、史上最大規模となる今回の買収によって、企業価値は1兆5000億ドルに達する可能性があるという。一方、The New York Timesは企業価値を1兆ドル弱と推定している。
Musk氏は発表の中で、地上に設置されたデータセンターについて、膨大な電力需要や「地域社会や環境への負荷」といった懸念を挙げた。今回の買収は太陽光発電を利用してデータセンターや宇宙施設を稼働させ、AIモデルのトレーニングや科学的進歩を促進する計画の一環としている。
「私の予測では、2~3年以内には、AIの計算資源を生成する最も低コストな方法は宇宙になるだろう」とMusk氏は述べた。
SpaceXの担当者は、コメントの依頼にすぐには応じなかった。
SpaceXは最近、第3世代の「Starlink」衛星により、宇宙からギガビット級の通信速度を提供することを約束したばかりだ。
われわれ一般ユーザーへの影響
Musk氏の発表はデータセンターの需要やAIの未来に焦点を当てたものだったが、この買収はAIに関わる人々だけでなく、「Starlink」や「X」などの利用者にも影響する可能性がある。
例えば、Starlinkは最近プライバシーポリシーを変更し、顧客データをAIの学習に使用することを明記した。
Quandary Peak ResearchのエグゼクティブバイスプレジデントであるMahdi Eslamimehr氏は、「明示的にオプトアウトしない限り、900万人のユーザーの個人データをAIの学習に利用するという方針は、ますますコネクテッド化が進む現代社会におけるトレードオフを改めて思い知らされるものだ」と指摘する。「消費者は、単一の組織がインターネットアクセスや主要なSNSを支配するだけでなく、個人のデータで学習させたAIモデルまでも管理する未来を警戒すべきだろう。特に、xAIのチャットボット『Grok』が物議を醸した過去を考えればなおさらだ」
この買収は宇宙というよりも、ChatGPTを開発するOpenAIやClaudeを手がけるAnthropicといった競合他社に対抗することが目的の可能性もあると、Eslamimehr氏は述べる。
また、Musk氏が率いるさまざまな企業の技術を組み合わせることは、「たとえ実現が数年先だとしても、AIアシスタントやコンテンツ生成、リアルタイム翻訳が地理的条件や現地のエネルギーインフラに制限されない未来への布石となる」という。
Musk氏が「その野望のごく一部でも」実現できれば、太陽光発電や宇宙の真空を利用した冷却によるコスト削減の恩恵が、サブスクリプション料金の値下げやAIの使用制限の緩和という形でユーザーに還元される可能性があると、Eslamimehr氏は締めくくった。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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