
人工たんぱく質繊維を手がけるSpiber(スパイバー)は12月23日、実業家の川名麻耶氏と事業支援に関する契約を締結したと発表した。所定の条件が充足され次第、2026年上半期をめどに川名氏がSpiberの事業支援を開始する予定だ。
Spiberは、微生物発酵を用いて人工的に設計した構造たんぱく素材を開発・量産するバイオ素材企業。自社素材「Brewed Protei」は、石油由来や動物由来原料に依存しない点を特徴とし、ファッション分野を中心に、アウトドア用品や産業用途などへの展開を進めている。
川名氏は孫正義氏の長女で、現在はBOLDの代表取締役CEOを務めている。今回の契約により、川名氏が関与する事業との連携を通じて、Spiberの事業継続および成長を支援するとしている。
川名氏は1981年4月生まれ。2004年にゴールドマン・サックス証券に入社後、ビジネス・ブレークスルー(現Aoba-BBT)、Afiniti Japanなどを経て、2019年にBOLDを設立。2021年からは立命館大学で客員研究員・教授を務め、2025年にはDesign Future JapanおよびAIロボティクスの社外取締役に就任している。
今回の契約にあたり川名氏はコメントを発表。Spiberについて、技術開発力に加え、研究開発から量産、販売、ブランドアセットまでを統合した事業体制を評価しているという。一方で、これまでサステナビリティの文脈で語られることが多く、事業化や社会実装との間に課題もあったと指摘した。
その上で、構造たんぱく質や機能性たんぱく質の設計・量産力という同社の強みを適切に発信するとともに、生産体制や経営資源の配分、営業戦略の見直しによって「経済的持続性を備えた成長を実現できる」とコメントした。
また、川名氏は「孫正義氏の長女」という自身の出自を公表した理由について、短期的な企業売却やIPOを前提とせず、長期的な視点で事業成長に関与できる立場であることを明確にするためだと説明した。
Amazonのアソシエイトとして、CNET Japanは適格販売により収入を得ています