

芥川賞作家✕東洋経済オンラインの「異色コラボ」連載小説!
「子供部屋おじさん」が、あなたの復讐、請け負います。
パワハラ、詐欺、痴漢冤罪(えんざい)、書店万引き――。裁かれぬ現代社会の悪を、人知れず断罪する者たちがいた。ダークウェブに潜む謎の復讐代行組織「子供部屋同盟」。
社会から疎外された「子供部屋おじさん」たちが、その特異なスキルを武器に、歪んだ正義を執行する。
芥川賞作家・高橋弘希が放つ痛快無比の世直しエンタメ『子供部屋同盟』より、第4章を4日に分けて毎日お届けします(今回は4日目)。
万次郎からのDM
絢香は自宅のリビングで胸の高鳴りを覚えながら、執行開始時刻を待った。午前十時ぴったりに、子供部屋同盟の受信箱にDMが届いた。万次郎からだ。DMにはXのアカウントIDが記されていた。
──まずはこちらのアカウントにて、左ジャブを打ちます。
絢香は首を傾げつつも、Xでそのアカウントを表示させる。
──話題のバイトテロ野郎のご尊顔www
あの厨房で丼に放尿する動画が、工藤の顔が露わになった状態で公開されていた。
絢香が画面を見ている間にも、リポストといいねは次々に増えていき、リプライには大量のコメントが書き込まれていく。
──顔出し動画で草
──どうやって流出したのこれ?
──撮影した仲間が裏切ったんじゃね?
──なんだよ仲間割れか?
──責任逃れで草
万次郎からDMが届く。
──次はこちらのアカウントにて、さらなる左ジャブを打ちます。
絢香はそのアカウントの投稿を見て、目をぱちくりさせる。
