

芥川賞作家✕東洋経済オンラインの「異色コラボ」連載小説!
「子供部屋おじさん」が、あなたの復讐、請け負います。
パワハラ、詐欺、痴漢冤罪(えんざい)、書店万引き――。裁かれぬ現代社会の悪を、人知れず断罪する者たちがいた。ダークウェブに潜む謎の復讐代行組織「子供部屋同盟」。
社会から疎外された「子供部屋おじさん」たちが、その特異なスキルを武器に、歪んだ正義を執行する。
芥川賞作家・高橋弘希が放つ痛快無比の世直しエンタメ『子供部屋同盟』より、第4章を4日に分けて毎日お届けします(今回は3日目)。
責任を取ってバイトを辞めます
工藤たちはその日を境に出勤しなくなった。店のグループLINEに、一通だけメッセージが届いた。
──騒ぎを起こしてしまったので、俺たちは責任を取ってバイトを辞めます。
以降はこちらからLINEを送っても、ブロックされているのか既読すらつかない。電話をしても着信拒否されている。
絢香は奥歯を噛んだ。バイトの彼らは、バイトを辞めてしまえば一切の責任から逃れられる。一方で店を構えている自分たちは、最後まで責任を果たさないといけない。
──不衛生な店だ!
──閉店しろ!
──気持ち悪い!
──保健所の指導を受けろ!
匿名の人々に低評価レビューを何件も付けられ、ほとんどデマに近い悪評まで流布される。店のHPに従業員が勝手に撮影した旨を記載し、店の入口には謝罪の貼紙をした。理解を示してくれる人もいたが、SNS上での誹謗中傷は止まらなかった。
