
Googleは米国時間12月17日、新しいAIモデル「Gemini 3 Flash」を発表した。より低いコストで高速な出力が可能で、従来の強力な推論モデルと同等の性能を持つという。
ベンチマークテストによると、Gemini 3 Flashは「GPQA Diamond」テストで90.4%という博士号レベルの推論能力を記録し、「Humanity’s Last Exam」では(ツールなしで)33.7%のスコアを達成した。これらはAIモデルの限界を試すために設計された非常に難易度の高いテストであり、専門家レベルの知識を必要とする。なお、「Gemini 3 Pro」はこれらのテストでそれぞれ91.9%と37.5%を記録している。Googleによれば、Gemini 3 Flashは、2025年に入ってリリースされた当時の最上位モデル「Gemini 2.5 Pro」を上回る性能を持ち、その速度は3倍に達するという。
Gemini 3 Flashは、開発者向けに「Google AI Studio」「Google Antigravity」「Gemini CLI」「Android Studio」で提供されている。一般消費者向けには、GeminiアプリおよびGoogle検索の「AIモード」で順次展開される。企業ユーザーは「Vertex AI」で利用可能だ。
Googleは、Gemini 3 Flashがカスタマーサポートやゲーム内サポートなど、迅速な対応が求められるタスクにおいて便利なエージェントになり得るとしている。Google LabsおよびGoogle Gemini担当バイスプレジデントであるJosh Woodward氏は、米CNETのインタビューで「これは賢くて速いモデルだ」と語った。「多くの場合、トレードオフが必要になる。遅くても大規模なモデルを選ぶか、賢くないが速いモデルを選ぶか。しかしこのモデルは、品質と速度のパレート境界のまさにその点にあり、非常に興味深い位置づけとなっている」
パレート境界とは、可能な限り最良の妥協点を見つけることだと考えてほしい。例えば、速くて安い車を買おうとする場合、ボディの素材やシートの品質で何らかの妥協が必要になるだろう。エンジニアリングにおけるパレート境界は、最小限の犠牲で最も効率的な解決策を見つけることを目指すものだ。
Woodward氏は、Gemini 3 Flashを旅行、買い物、教育に関する質問への回答といった日常的なタスクを処理するモデルと見ている。興味深いことに、GoogleはGemini 3 Flashの「思考」バージョンを導入する予定だ。これは回答の作成に少し時間をかけるものだ。また、クエリに基づいてモデルが直感的に高速バージョンと思考バージョンを切り替える「自動」モードの実験も行っている。
Googleは「Gemini 3 Pro」と画像モデル「Nano Banana Pro」を、米国の全ユーザー向けに検索のAIモードで提供することも発表した。これらはドロップダウンメニューからアクセスできる。Google AI ProおよびUltraのサブスクリプション加入者には、より高い使用上限が提供される。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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