
REDMAGICのスマートフォンを使ったことがあるなら、このブランドが特に「性能」と「デザイン」を重視していることはご存じだろう。「REDMAGIC 11 Pro」は、その両方を非常に分かりやすく打ち出している数少ない端末の1つだ。
筆者は「REDMAGIC 10 Air」をテストする機会に恵まれて以来、「Astra」タブレットなどREDMAGICの製品のファンになっている。これまでに触れてきたどのミドルレンジ端末よりも、同社のスマホやタブレットはギリギリまで性能を引き出してくれると感じたからだ。
同社の「Pro」モデルのスマホも名前負けすることなく、これまで一度も期待を裏切ったことがない。だからこそ、同社からREDMAGIC 11 Proを試してみないかと連絡が来たとき、迷うことなく飛びついた。
では、その実力はどうだったのか。詳しく見ていく。
実際に使ってみて
これまでいくつかのREDMAGIC端末をレビューしてきたが、そのどれもが本当に美しい仕上がりだった。本体はスリムで、無駄なスペースが1cmもなく、ミドルレンジの価格帯でありながら本気のパワーを備えている。
11 Proは、その評判に応えるだけでなく、さらに1段階上のレベルに押し上げてきた。箱から取り出した瞬間に、これは特別な1台だと直感した。
本体のフォルムは角ばったデザインなので、そうした見た目が好きな人ならきっと気に入るはずだ。エッジのラインはシャープで無駄がなく、全体としてとてもエレガントにまとまっている。背面には「Nothing Phone」を思わせるガラスパネルが採用されていて、中の構造が見えるわけではないが、ケースとしては実に美しい。
本体の美しさをひとしきり眺めたあと、ようやく電源を入れることにした。Androidスマホなので初期設定はとても簡単だ。2〜3分もあれば11 ProをGoogleアカウントに紐づけて、すぐに使い始めることができた。最初の印象は――。
「これはすごい」と思った。
筆者はREDMAGICがAndroidに施しているカスタマイズが本当に気に入っている。もしiOSとAndroidの「いいとこ取りをした子ども」がいたとしたら、それがREDMAGIC版Androidだと言っていい。静止画面の状態でも十分に美しいが、通知シェードやアプリドロワーを開くといったアニメーションが動き出した瞬間、Androidがここまで表現力を持てるのかと実感させられる。本当に特別な仕上がりだ。ここまで洗練された見た目のAndroidは、これまで見たことがない。
もちろん、最新版のAndroidでGoogleは見た目を大きく進化させている。それでも、REDMAGICのデザインにはまだ追いついていないと感じる。では、肝心のパフォーマンスはどうだろうか。
水冷&ハイパフォーマンス
REDMAGIC 11 Proは水冷式の冷却機構を備えている。読み間違いではない。11 Proには、端末内部を循環する液体をマイクロポンプで送り出す、本格的な水冷システムが搭載されているのだ。
先ほど触れたガラスの背面を思い出してほしい。どうやらこの構造のおかげで、ポンプで送り出される冷却液が流れていく様子を目で確認できるようになっているらしい。筆者はまだそこまでの状態には至っていないが、今はその瞬間をこの目で見るべく、あえて負荷をかけて試しているところだ。
たしかに、仕組みだけ聞くとややギミック寄りにも思える。ただ、モバイル端末でゲームをプレイするとき(まさにREDMAGICが得意とする分野だ)、冷却は非常に重要だ。筆者もこれまで数多くのAndroidスマホでゲームをプレイし、あっという間に本体が熱くなるのを何度も経験してきた。この水冷システムなら、そうした問題を抑えつつ、CPUをオーバーヒートの心配なくフル稼働させられるはずだ。
そこで、どれだけ効果があるのかを試すため、アクションRPG「ディアブロ イモータル」をインストールしてみた。インストールには普段より少し時間がかかったが、これはおそらく回線速度のせいだと考えている。
REDMAGIC 11 Proは、新しい「Snapdragon 8 Elite Gen 5」CPUをいち早く採用したスマホの1つでもあるが、その実力ははっきりと体感できる。このチップ自体がとにかく高速で、11 Proはその性能を余すところなく引き出している。筆者が使っている「Pixel 9 Pro」ですら、この端末のスピードにはかなわない(しかもPixelの方が約200ドル高い)。
「ディアブロ イモータル」のプレイは、これまで見てきた中でも群を抜いてスムーズだった。ラグは一切なく、グラフィックは美しく、サウンドも迫力がある。そして、プレイを始めてすぐに本体の背面をチェックしてみると、冷却システムの中を液体が流れていく様子がしっかりと見えたのだ。
これは素直にカッコいいと言うしかない。
プレイしているあいだも、本体はずっと触っていて冷たいと感じるレベルで、一度たりともほんのり温かくなることすらなかった。こんな体験は初めてだ。しかも、このスマホがとんでもなく速いことはもう伝わっているだろう。価格は749ドル(日本では税込12万9800円)なので、性能も「ミドルレンジより少し上」くらいだと想像するかもしれないが、実際のところこれは完全にフラッグシップ級の端末だ。
完璧というわけではない
欠点を挙げようとしてもしばらく見つからなかったが、あえて言うならカメラ周りだ。筆者はすっかりPixelシリーズのカメラに慣れてしまっていて、それと比べると他のスマホはどうしても見劣りしてしまう。REDMAGIC 11 Proもその例外ではない。写真自体は十分きれいに撮れるものの、Pixelのレベルには届いていない。
とはいえ、それは非常に高いハードルだとも言える。Googleが自社のフラッグシップスマホで実現してきたカメラ体験に肩を並べる端末に、筆者はまだ出会っていない。
それでも、スマホに求める条件のなかで「とにかく最高のカメラ」が最優先というのでなければ、11 Proのカメラ性能に不満を覚えることはほとんどないだろう。実際、筆者もかなり良い写真をたくさん撮ることができた。
筆者が感じるREDMAGIC 11 ProとPixel 9 Proのカメラのいちばん大きな違いは、Pixelの方が多少ラフに撮ってもそれなりに仕上げてくれる点だ。Pixelなら、そこまで手ブレを気にしなくてもそれなりの写真になるが、11 Proではしっかりと手を固定したほうが良い。この違いは、おそらくGoogleがPixelのあらゆる部分にAI処理を組み込んでいることが主な要因とみられる。
どんな人におすすめ?
手のひらの上で本格的なパワーを使いこなしつつ発熱を抑えたい人、そしてAndroidの可能性を体現するUIを求める人にとって、REDMAGIC 11 Proは現時点で最有力候補と言っていい。業界最先端のCPUに水冷システム、そしてエレガントな筐体を持つこのスマホは、パワーと美しさを兼ね備えた1台だ。
筆者はこのスマホを強くおすすめする。正直なところ、あまりに気に入ってしまったので、レビューを終えて返却するのが憂うつなくらいだ。いずれPixel 9 Proから買い替えるタイミングが来たら、REDMAGICへの乗り換えを本気で検討するかもしれない。
REDMAGIC 11 Proの主な仕様
- CPU:Snapdragon 8 Elite Gen 5
- ディスプレイ:6.85インチ/最大144Hz、解像度1216×2688のOLED、ピーク輝度1800ニト
- サイズ・重量:163.82×76.54×8.9mm、230g
- 冷却機構:アクティブ冷却ファン+水冷システム
- 防水性能:IPX8相当
- バッテリー:容量7500mAh、80Wの急速有線/ワイヤレス充電に対応
- カラーバリエーション:「クライオ」はマットなブラック仕上げで、12GB RAM+256GBストレージのベースモデル専用カラー。「ナイトフリーズ」と「サブゼロ」は、16GB+512GBまたは24GB+1TBモデルを選択できる
- カメラ:50MP(1/1.55インチセンサー)メインカメラ、50MP超広角、前面に16MPの画面下カメラ
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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