
Amazonが投入した新型「Echo Show 11」は、ほぼ死角のない仕上がり。強化されたAlexaのAI機能も期待以上だった──。
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スマートディスプレイが登場した2017年から、デザインの変化やサイズ展開、スマートホーム対応の進化を追い続けてきた。LenovoやNestなど競合の優秀なモデルも見てきたが、安定して完成度が高いのはやはりAmazonの「Echo Show」シリーズだ。今回、その中でも「これがベスト」と言える製品に出会った。
「Echo Show 11」は、シリーズで最も扱いやすいタッチスクリーンと力強いスピーカーを備える。だが、最も驚かされたのは新たに強化されたAI音声アシスタント「Alexa+」(日本では未提供)だった。応答は自然で精度も高く、日常のちょっとした操作が以前よりスムーズになった。しばらくキッチンの定位置から動かす理由が見つからない。
Echo Show 11が「しっくりくる」理由
まず実物を置いてみて感じたのは、デザインのまとまりの良さだ。前モデル「Show 10」にあった回転式ベースは姿を消し、コンパクトな固定ベースに変更。ディスプレイをわずかに持ち上げるプレートが加わったことで、キッチンカウンターでも安定して使える。
11インチの画面はキッチン用として絶妙なサイズ。邪魔にならない程度のコンパクトさを保ちつつ、ミニテレビやレシピ端末、複数タイマーを同時に管理するハブとして十分な表示領域がある。HDディスプレイは発色が向上し、環境光に合わせて明るさを自動調整してくれるため、朝昼夜いつ見ても読みやすい。
(編集部注:本レビューは米国の住環境を前提としています。日本の住宅事情ではある程度のキッチンスペースが必要になる点をご留意ください)
サウンドも期待以上だ。Echo Showシリーズはサイズのわりに音が良いことで知られるが、今回のモデルはその中でも頭ひとつ抜けている。2基のフルレンジドライバーと2.8インチウーファーが生み出す音はクリアで、キッチンだけでなくリビングまでしっかり音が届く。音質そのものはApple HomePodには及ばないものの、「思い立ったときに家じゅうに音楽を流す」という用途なら、ほぼ文句なしの実力だ。
キッチンに置くと“頼れる相棒”になる理由
Echo Show 11をどこに置くか迷ったが、結局キッチンに落ち着いた。LDKでリビングとつながっており、家族が集まるのも料理中に立ち寄るのも大体ここ。手がふさがりがちな場所だからこそ、タイマーのセットや音楽、ニュース、料理中のちょっとした疑問、「青パパイヤがなかったら何を代用できる?」といった質問まで、声だけで済むのは本当に助かる。
タイマーやリマインダー、買い物リストを画面で一覧できるのも便利で、同時進行の作業が多くても頭の整理がしやすい。
対応デバイスとの連携も抜かりなく、セキュリティカメラの映像を映したり、スマートプラグ経由でランプを操作したりといった使い方ができる。内蔵センサーをトリガーに自動でルーティンを実行させるなど、ホームオートメーションの幅も広がっている。
3.3倍ズームのカメラはビデオ通話はもちろん、Alexaアプリを使って離れた場所からライブビューをチェックでき、小型の見守りカメラとしても機能する。
音量や明るさ、見たい情報を呼び出すといったシンプルな操作は、やはりAlexaへの音声コマンドが一番速い。細かな設定に触れたい場合はタッチ操作もあるが、全体のカスタマイズはAlexaアプリのほうが分かりやすいと感じている。
アプリではApple MusicやSpotify、Tidalといった音楽サービスに加え、HuluやNetflixなどの動画アプリまで連携可能だ。カメラの無効化(物理シャッターも装備)、スライドショー用の写真アルバム追加、プライバシー設定の微調整といった作業もすべてアプリ側で完結する。
料理をしながらドラマを“ながら見”したり(筆者はこの方法で『MR.ROBOT/ミスター・ロボット』をほぼ見終えた)、スパイスの違いをさっと調べたり…。そんな日常のやり取りを支えているのがAlexaだ。
このAlexaは最近、大型アップデート版の「Alexa+」(日本では未提供)で大きく生まれ変わった。より会話調の声が追加され、できることも増え、Prime会員なら無料、その他のユーザーは20ドルで利用できる。変化が大きいため筆者は別途レビューを進めているが、少なくともEcho Showの使い勝手が明らかに一段上がったのは間違いない。
Alexa Plusは、一言でいえば“チャットボットの知能を身につけた音声アシスタント”だ。起動直後にわずかな待ち時間こそあるが、情報の伝え方や追加の質問への受け答えはより人間らしくなった。
ユーザーが知りたい情報に素早くアクセスし、Uberの配車のような具体的な依頼にも対応。こちらの意図をくみ取って調整したり、誤りがあれば素直に訂正したりと、振る舞いも自然だ。総じて、従来のAlexaから一段階“気が利く存在”になった印象で、使っていて心地よさが増している。
不満は「おすすめ表示」
新しいEcho Showは総合的に見てシリーズ最高の出来だが、ひとつだけ気になる点がある。それが、画面に頻繁に表示される“おすすめ”だ。
広告のような内容がランダムに出てくるのは珍しくなく、中には何年も前のAmazonの購入履歴が引っ張られているようなものもあれば、興味とは真逆のニュースやエンタメ、音楽の提案、商品プロモーションまで混ざる。言ってしまえば「Amazonらしい押しの強さ」が前面に出ている。
もちろん、うまくハマる瞬間もある。レビュー中に表示されたビーツフムスのレシピのように、「これは作りたい」と思える提案が来ることもある。ただ、そうした“当たり”はあくまで例外だ。
スライドショー用に写真アルバムを設定すると若干頻度が下がる印象はあるものの、広告を完全に非表示にしたり、自分好みに調整したりする手段は見当たらない。幸いなのは、これらの表示が常に無音なこと。しかし、時折「今はいらない」と感じる商品がふっと画面に出てくるのは、このデバイスを使ううえで避けて通れない“代償”のようだ。
Echo Show 11は買うべき? 最終評価
キッチン用の高機能アシスタントや、家の中心に置く情報ディスプレイ兼スピーカーを探している人には、Echo Show 11は現時点で最良の選択肢のひとつだ。画面はより高精細になり、スピーカーの音質も向上。さらに、AI強化版のAlexa Plusによって、応答の自然さや操作性も大きく進化した。
音楽ストリーミングや動画配信サービスをつなげれば、この端末の使い勝手はぐっと広がる。一方で、精度の低いレコメンド表示を受け入れなければならない点は、どうしても評価が分かれるところだ。それを理由に購入をためらうとしても無理はない。
とはいえ、ハードの完成度、音質、画面、そしてアシスタントの総合力はシリーズでも随一。レコメンドの“押しの強さ”さえ許容できるなら、現行Echo Showの中で最もバランスが取れた1台と言えるだろう。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。