
中国の栄耀(HONOR)が、同社初のゲーミングスマホ「Honor Win」を現地時間12月26日に発売する。これに先立ち、筆者は実機と、搭載された独自のターボ冷却ファンを実際に試す機会を得た。
このファンは、ゲーミングスマホが抱える重要な課題である熱に対処することを狙ったものだ。あらゆるスマホは、プロセッサーの性能と、そのチップが発する熱とのバランスを取らなければならない。特に、最大パフォーマンスで何時間もプレイするゲーミングスマホでは、その難しさが際立つ。
HONORはWinにファンを搭載し、発生した熱を外に逃がすことで、プロセッサーをより高いクロックで、より長時間動かせるようにしている。
ゲーミングスマホのメーカーであるnubiaとASUS(それぞれ「RedMagic 11 Pro」と「ROG Phone 9 Pro」を開発)も、冷却にフォーカスした独自機能を用意している。ただし、両社とも、水とホコリの両方に耐性を持つ等級を取りつつ、内部にファンを組み込むことにはまだ成功していない。
Honor Winは、ゲーミングスマホの大手企業に対し、耐久性を犠牲にしない冷却ファンのデザインで挑んでいる。それでいて、1万mAhという巨大なバッテリーを積んでいるのに、手に持っても“レンガ”のようには感じない。これは、筆者がこれまでテストしてきたスマホの中で最大のバッテリー容量だ。この怪物級バッテリーのおかげで、Honor Winでは過度な発熱を心配せずに何時間もゲームをプレイできるうえ、本体の耐久性もAppleやサムスンのフラッグシップ機に匹敵するレベルだ。
価格や、グローバル展開の有無についてはまだ明らかになっていない。
プレミアム機に見えるゲーミングスマホ
Honor Winには、熱をすばやく逃がすためのファンが内蔵されている。HONORはこの冷却システムを「East Wind Turbo Cooling」と称している。内蔵ファン自体は「RedMagic」シリーズなどにもあるが、HONORはプロセッサーの真上にファンを配置し、冷却効率を高めている。冷気をチップに直接吹き付けるエアダクトも備える。Winのファンは毎分2万5000回転で回り、激しいゲームプレイ中でも最大7℃温度を下げられるという。ファンとエアダクトの吸気面積は、「従来の冷却ファンと比べて10%増加した」とのことだ。
なお、米CNETのレビューでは、ROG Phone 9 Proの外付けクーラー「AeroActive Cooler」を装着すると、「フォートナイト」プレイ時の温度が3℃下がったと報告されている。これまでは、「RedMagic 11 Pro」が搭載する毎分2万4000回転のファンが、スマホとしては最も強力なエアフローを誇っていた。
今回の短いハンズオンでは、HONORのゲーミングスマホの性能を限界まで試すことはできなかった。今後、ASUSやnubiaのゲーミングスマホと比べてテストし、体感できる違いがどれほどあるのかを確かめてみたいと思っている。
HONORによると、スマホ向けチップが高性能化し、モバイルゲームの負荷も増していることから、より優れた冷却ソリューションの必要性が高まっているという。その結果、「iPhone 17 Pro Max」に搭載されているような従来型のベイパーチャンバー式冷却は、限界に近づきつつあるそうだ。HONORの担当者は、Winの冷却システムはPCで使われているものをベースにしていると説明した。
とはいえ、このデザインで最も感心させられたのはファンではない。フラッグシップ機レベルのHonor Winの耐久性だ。このスマホは、防塵・防水性能でIP68、IP69、IP69Kの認証を取得している。これにより、最大30分の水没に耐え、高温の水圧ジェットにも耐え、ポケットのホコリやチリが内部に入り込むのを防げる。
参考までに、冷却ファンを内蔵しながら防水対応を実現した最初のゲーミングスマホは「RedMagic 11 Pro」で、IPX8の等級を得ている。ただしこちらは通気口があるため、ホコリの侵入を防ぐための防塵性能は備えていない。
巨大バッテリーでもかさばらない
Honor Winには、1万mAhの大容量シリコンカーボンバッテリーが搭載されているが、その重量は「iPhone 17 Pro Max」よりも軽い。筆者は、初めて手に取ったとき、これほど大きなバッテリーを積んでいるとは思わなかった。「RedMagic 11 Pro」の7500mAhバッテリーや、「OnePlus 15」の7300mAhバッテリーと比べても大きく上回る容量だ。
重量は229gで持ちやすく、「Galaxy S25 Ultra」のように手のひらに食い込む感覚もない。側面はフラットだが、四隅がカーブしているため、手にしっかりとフィットする。
Winには「Charge Separation」という機能があり、バイパス充電のように、バッテリーを介さずに充電器から直接マザーボードに給電できる。これによりゲームプレイ中の熱の蓄積を抑え、長時間でもフルフレームのパフォーマンスを維持できるという。Charge Separationは、バッテリー寿命の延長にも役立つとされている。
詳しい情報については12月26日の発売を待つ必要があるが、HONORの幹部は中国のSNS「Weibo」で、いくつかの仕様を先行して明かしている。それによると、Honor WinはQualcommの「Snapdragon 8 Elite Gen 5」チップ、3眼カメラ、16GBのRAMを搭載するという。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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