

芥川賞作家✕東洋経済オンラインの「異色コラボ」連載小説!
「子供部屋おじさん」が、あなたの復讐、請け負います。
パワハラ、詐欺、痴漢冤罪(えんざい)、書店万引き――。裁かれぬ現代社会の悪を、人知れず断罪する者たちがいた。ダークウェブに潜む謎の復讐代行組織「子供部屋同盟」。
社会から疎外された「子供部屋おじさん」たちが、その特異なスキルを武器に、歪んだ正義を執行する。
芥川賞作家・高橋弘希が放つ痛快無比の世直しエンタメ『子供部屋同盟』より、第5章を4日に分けて毎日お届けします(今回は2日目)。
上級生たちの万引き
子供部屋同盟に案件を否決されて数日が過ぎた。
浩一にできることと言えば、朝日堂で本を買うことくらいだった。正月に叔父からもらった図書カードがあるから、このさいに何冊かまとめて本を買おうと思う。
学校帰り、朝日堂で書棚を眺めていると、自動ドアが開いて六人の制服姿の男子が店内へ入ってきた。最近、たまに書店で見かける上級生グループだ。浩一は密かに、彼らが万引き犯ではないかと思っている。
というのも親父の言う万引きが始まった時期と、彼らが書店へやってきた時期は重なっている。しかも彼らは書棚を見て回るだけで、いつも何も買わずに店から出ていくのだ。
浩一は立ち読みする振りをしながら、彼らを目で追った。
彼らは雑誌コーナーに立ち寄り、漫画本の書棚の前をうろうろとして、やはり何も購入せずに店を出ていく。
結局、万引きをしたのかどうかは分からない。浩一は書店を出て、あたりを見回す。
上級生たちは自転車に乗り、ふざけ合いながら街道を走っていった。
