
高い「言葉の壁」
子供の頃、わが家ではチェルノブイリ原発事故の影響を受けた地域の子供たちを一時的に預かる保養プログラムの一環として、毎年夏にベラルーシから1人の少女を迎え入れていた。最終的に、数年間にわたって同じ少女を毎年招待することが恒例となった。彼女は家族の一員となり、今でもその絆は続いている。
ベラルーシと米国の文化のバランスを取るには大変な苦労があったが、最も大きかったのは言葉の壁だ。両親と私はたどたどしいベラルーシ語で、彼女はたどたどしい英語で精一杯コミュニケーションを取った。理解が追いつかないときは、指をさしたり身振り手振りを交えたりし、必要であれば部屋の隅にあるPCまで走って行って、単語やフレーズの訳を検索した。完璧ではなかったが現実的であり、うまくいっていた。
実を言えば、そうしたやり取りには美しさがある。言葉の壁による気まずさや不自由さを乗り越え、真の理解とつながりを得ることには、何か特別なものがある。自分の言いたいことがようやく伝わったときに相手の目が輝き、その後に続く興奮した「そうそう、そうなんです」という言葉を聞くのは、本当に格別な瞬間だ。
だが、そんな私でさえ、摩擦のないスムーズなコミュニケーションが必要な時と場所があることは認めざるを得ない。
そこで、私がCES 2026で試した最もクールなデバイスの1つ「Vasco Translator Q1」を紹介しよう。これを使ってみて、私は過去に翻訳機について言った否定的な意見の一部を撤回することにした。
CESの展示会場は決して静かではないが、騒音の中に立ちながら、本来なら全く話せるはずのない相手と、驚くほど自然な会話を楽しんでいる自分に気づいた。
話し相手になってくれたのはハンナさん。ポーランドのクラクフ出身だ。489ドル(約7万7000円)のVasco Translator Q1のデモ中、われわれは数分間会話を交わした。私は英語で、彼女はポーランド語でだ。どちらも言語を切り替えることなく、不自然に話すスピードを落としたり、同じことを繰り返したりもしなかった。翻訳機がただ、われわれの間の溝を埋めてくれた。
このデモでは、389ドル(日本では5万5000円)のイヤホン型翻訳機「Vasco Translator E1」も使用した。私が英語で話すとハンナさんにはポーランド語で聞こえ、彼女がポーランド語で返すと私には英語で聞こえる。会話は途切れることなく続き、数分後にはテクノロジーの存在を完全に忘れてしまっていた。翻訳製品が正しく機能していると実感するのは、通常このような瞬間だ。
さらに驚いたのは、これがVascoが提供する最も高度なセットアップではないということだ。Vasco Translator Q1単体でもさらに多くのことが可能で、ある意味ではイヤホンを装着するよりも押しつけがましさが少ない。
Vasco Translator Q1を試す
Vasco Translator Q1はよくあるスマホアプリではなく、専用に設計されたスタンドアロンの言語デバイスだ。旅行やビジネス、あるいは異なる言語を話す誰かとつながる際、リアルタイムの会話を容易にするよう設計されている。
スマートフォンを交互に向け合ったり、ボタンをタップしたりするのではなく、Q1は対話が自然に流れるように作られている。自動モードやタッチレスモードなどの機能を備え、デバイスが音声を即座に検知して、50以上の言語をハンズフリーで翻訳できる。
イヤホンを使ったテストや1対1のセットアップでは、互いの会話がほぼ同時に自分の言語で聞こえてくる。このほぼ連続的なやり取りは、従来の交互に話すタイプの翻訳機に比べて、はるかにぎこちなさが少ない。
Q1はハイエンドの音声翻訳機と同様、内部的に3段階で翻訳を実行する。
- 音声→テキスト:自動音声認識(ASR)が話し言葉を素早く正確に捉える。
- テキスト→翻訳されたテキスト:ニューラル機械翻訳(NMT)が、単語だけでなく意味を解釈し、不自然で直訳的な出力を避ける。
- テキスト→音声:自然な響きのテキスト読み上げ(TTS)が、選択した言語で結果を返す。
Q1にはさらに、翻訳が自分の声のように聞こえるボイスクローニング技術や、リアルタイムの電話翻訳、グループ翻訳のサポート、内蔵SIMによる無制限のグローバルインターネット接続といった高度な機能も搭載されている。
このデバイスがすごい理由
言語翻訳機は、決して目新しい発明ではない。Amazonで翻訳機を探したり、スマートフォンに組み込まれているGoogleの機能に頼ったりすることもできるだろう。このデバイスが「Google翻訳」や「Googleレンズ」といったツールと一線を画しているのは、翻訳よりもまず「会話」を中心に設計されている点だ。共有された画面でやり取りを仲介するのではなく、両者の間に静かに佇み、テクノロジーを意識させずに、リアルタイムで自然な会話ができる。
Vasco Translator Q1の最も素晴らしい点は特定の機能ではなく、会話の最中にいかに早くその存在感をなくすかということだ。ハンナさんとの対話は、すぐにそれがデモであることを忘れさせてくれた。それは言語の壁を越えた、ごく普通の会話のように感じられた。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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