

写真素材を有料で配布するストックフォトサービス「ゲッティイメージズ」が、画像生成AI「安定拡散」によって知的財産権が侵害されているとして起こされた訴訟で、ロンドン高等裁判所は判決を下した。 AIモデルによる著作権侵害の主張は「著作権侵害のコピーではない」として却下する一方、ウォーターマークに関する商標権侵害の主張は認め、ゲッティイメージズとStabile Diffusionを運営するStability AIの両社が実質的な勝利を宣言した。
Stability AI、著作権と商標をめぐるゲッティイメージズとの英国法廷で大勝 | AP通信
https://apnews.com/article/getty-stability-ai-image-copyright-trademark-fa2c561a33c7b6714a7657255a3fbdf1
AI会社、写真代理店の著作権侵害訴訟で高等裁判所の判決を勝ち取る |知的財産 |ガーディアン
https://www.theguardian.com/media/2025/nov/04/stabilty-ai-high-court-getty-images-copyright
ゲッティイメージズ、Stability AI UK訴訟の判決に関する声明を発表 – Getty Images
https://newsroom.gettyimages.com/en/getty-images/getty-images-issues-statement-on-ruling-in-stability-ai-uk-litigation
この訴訟は「Stabilty AIがGetty Imagesが所有または代表するコンテンツの知的財産権を侵害した」として2023年1月に起こされ、Getty ImagesはStability AIが「Stable Diffusion」トレーニングのために1,200万枚の画像を無断で盗んだと主張した。
画像生成AI「Stable Diffusion」の開発元Stability AIがかつてGoogleを和解に持ち込んだストックフォトサイトのGetty Imagesから訴えられる – GIGAZINE
訴訟を担当したジョアンナ・スミス判事は、「Stable Diffusionのような著作物の保存や複製を行わない(そして一度も行ったことがない)AIモデルは『著作権侵害の複製』に該当しない」として著作権侵害の主張を棄却したが、不正競争の主張については判断を差し控えたほか、透かしが入っていることによる商標権侵害についてのゲッティイメージズの主張を認めた。
Stability AIの法務ディレクター、クリスチャン・ドーウェル氏は「裁判所が(商標権侵害を除く)本件の残りの申し立てに関してこの決定を下したことをうれしく思う」と述べた。さらに、訓練が英国で行われたという証拠がなかったため、ゲッティイメージズは著作権侵害の申し立ての多くを自発的に却下したとドーウェル氏は述べ、「最終判決により、著作権に関する核心的な懸念は解決された」と述べた。この訴訟の重要な問題を解決するために裁判所が費やした時間と労力に感謝します。」
一方、ゲッティイメージズは「判決は、ステーブルディフュージョンが自社製品にゲッティイメージズの商標を含めることが商標権侵害に当たると認定した」と発表した。重要なのは、裁判所が、商標侵害についてユーザーに責任を負わせようとするStability AIの試みを却下し、責任はトレーニングに使用される画像を管理するモデルプロバイダーにあることを認めたことだ。これは知的財産所有者にとって重要な勝利です。」
同氏はまた、「『トレーニングや開発がどこで行われたかに関係なく、ゲッティイメージズの著作物が安定拡散トレーニングに使用された』ということも重要な判断だった。AIモデルなどの無形物も有形物と同様に著作権侵害の申し立ての対象となり得るという有力な判例が確立されており、今回の英国訴訟の結果を米国訴訟でも活用するつもりだ」と述べた。
Getty Imagesでも触れられていたが、米国ではStability AIに対する訴訟が起きており、英国での判決がどのような影響を与えるか注目される。
ゲッティイメージズが画像生成AI「Stable Diffusion」を著作権侵害で提訴、これが2度目の法的手続きとなる – GIGAZINE
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