
衛星開発・運用を手がけるアクセルスペースと、不動産AIツール「WHERE」を展開するWHEREは17日、人工衛星による地球観測画像を活用し、不動産登記情報の精度向上や不動産管理業務の効率化を目指すPoC(概念実証)を始めたと発表した。
アクセルスペースが運用する光学地球観測衛星「GRUS(グルース)」の画像と、WHEREの不動産探索AIを組み合わせる。都市開発の進行や土地利用の変化を把握し、最新の空間情報に誰もがアクセスできる不動産ソリューションの構築を目指す。
不動産業界では、登記情報と現況が一致していないケースが多く、仕入れや価格評価の判断を誤る要因となっている。自治体にとっても、現地調査や紙資料の確認は負担が大きい。両社は衛星画像を用い、登記情報と現況の差異を効率的に抽出する仕組みづくりを進める。

検出例
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PoCは東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、福岡の6都府県で実施する。複数回撮影した画像を基にAIが土地や建物の変化を検知し、登記情報と照合する。得られたデータを不動産業者や自治体に提供し、実務による検証やニーズ調査を行う。
成果を踏まえ、商用化に向けて地方都市や災害リスクの高い地域にも展開する方針。
WHEREの阿久津岳生代表は「宇宙から不動産市場を変えるというビジョンを掲げ、情報格差をなくし、誰もが価値ある不動産にアクセスできる社会を目指す」と述べた。
アクセルスペースの深澤達彦取締役は「衛星データとAIを組み合わせ、世界中の空間情報に迅速にアクセスできるようにする。社会インフラを構築し、安心・安全な未来を実現していきたい」と話した。
両社は今回の取り組みを通じ、不動産業界だけでなく、都市計画や防災、インフラ管理、金融など幅広い分野での活用を見込んでいる。