ディズニーとOpenAIは12月11日、10億ドル（約1500億円）規模の資本提携を発表した。この契約により、マーベルやスター・ウォーズ、ピクサーなど200以上の主要キャラクターが、OpenAIの動画生成ソーシャルアプリ「Sora」や画像生成ツールで利用可能となる。ユーザーは今後、著作権侵害を恐れることなく、ディズニーキャラクターが登場するAI動画の制作を楽しめるようになる。
「Sora」はChatGPTの姉妹版にあたる、動画生成・共有型のソーシャルメディアアプリだ。9月の公開直後から爆発的な人気を博し、今秋のピーク時にはAppleとGoogleの両アプリストアでランキング1位を獲得している。
これまでSoraを含むAIモデルは、著作権で保護されたキャラクターの「そっくり版」をユーザーが不正に生成できるとして、権利者からたびたび訴訟の対象となってきた。実際、ディズニーも現在、画像生成AIのMidjourneyを「底なしの剽窃（ひょうせつ）」と非難し提訴中だ。しかし今回の提携において、ディズニーはOpenAIに対し、知的財産（IP）の使用を正式に許諾する形をとった。（※なお、本誌CNETの親会社Ziff Davisも4月、著作権侵害を理由にOpenAIを提訴している）
生身の人間と音声は対象外
明らかになっている3年間のライセンス契約の内容によれば、Soraユーザーは2026年初頭から、ディズニーの人気フランチャイズにおける200以上のキャラクターを利用できるようになる。対象となるのは「アニメーション、マスク着用の人間（ダース・ベイダー）、クリーチャー」のキャラクターだ。
マーベルのスーパーヒーローやディズニープリンセス、スター・ウォーズの象徴的なキャラたちが生成動画に登場可能となるほか、「ミラベルと魔法だらけの家」のような世界観（背景）、衣装、小道具、乗り物なども含まれる。
一方で、実写作品に出演する「生身の人間（俳優）」の容姿や音声は契約対象外だ。つまり、ロケット・ラクーンの動画を作ることはできても、ブラッドリー・クーパー（声優）の声を含めることはできない。
Soraの人気を支える要因の一つは、人物を極めてリアルに描写できる点にある。だが、その能力は同時にディープフェイクへの懸念も招いている。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの遺産管理団体や俳優のブライアン・クランストン、全米映画俳優組合（SAG-AFTRA）などは、こうした潜在的な害悪についてOpenAIに対し懸念を表明してきた。
著作権侵害防止の意味合いも
ディズニーとOpenAIは声明の中で、違法または有害なコンテンツの生成を防ぐため、「強力な管理体制を維持するという共通のコミットメントを確認した」としている。ただし、具体的な管理手法についてOpenAIからの回答は得られていない。
ディズニーのボブ・アイガーCEOはプレスリリースで次のように述べている。 「AIの急速な進化は、我々の業界にとって重要な局面を示している。OpenAIとの協業を通じ、クリエイターとその作品を尊重・保護しつつ、生成AIを活用して我々のストーリーテリングを思慮深く、かつ責任を持って広げていく」
本契約により、ディズニーはOpenAIの「大口顧客」ともなる。ディズニー従業員はChatGPTへのアクセス権を得るほか、同社はAPIを活用して新たなプロダクトやツール、体験の構築を進める方針だ。また、Disney+（ディズニープラス）との連携も含まれており、Soraで生成された特定の動画がアプリ内で視聴可能になるという。なお、OpenAI技術のその他の用途について、現時点でディズニーからのコメントはない。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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