
都市部でよく見かけるシェアサイクルが札幌では「春の風物詩」だ(筆者撮影)
札幌の「春の風物詩」。
最近、そんな表現で報じられることが当たり前になっているものがある。シェアサイクル「ポロクル」だ。
道路の雪が消えた4月上旬から、再び冬が訪れる11月中旬までの期間限定で、地元住民やインバウンド観光客に重宝されている人気の移動手段である。
札幌市内に65カ所のポートがあり、設置台数は620台。2025年の実績では会員登録が約11万件、利用総数は約56万回(前年比9%増)に達したという。
2025年12月4日現在、ホームページを見ると「冬季休業中」と表示される(画像:ポロクルHP)
シェアサイクルは札幌以外でも全国各地で見かけるが、そうした中でポロクルは、交通行政や交通関連事業の関係者の間で、さまざまな観点から評価されている。
その理由はどこにあるのだろうか。9月に札幌で開催された「第20回 日本モビリティ・マネジメント会議(JCOMM)」の取材を機に、ポロクルについて深掘りした。
※「モビリティ・マネジメント」とは、渋滞や環境、あるいは個人の健康などの問題に配慮して、過度に自動車に頼る状態から公共交通や自転車などを『かしこく』使う方向へと自発的に転換することを促す、一般の人々や様々な組織・地域を対象としたコミュニケーションを中心とした持続的な一連の取り組みを意味する(日本モビリティ・マネジメント会議HPより)
そもそもシェアサイクルの起源はいつどこに?
まずは、シェアサイクル市場を俯瞰(ふかん)してみよう。
国土交通省 都市局 街路交通施設課によれば、2024年3月末時点でシェアサイクルを本格的に実施している都市は349(ポート数:1万6185カ所)、社会実験が66件(同6003カ所)、検討中の都市が39あり、特にコロナ禍以降で普及が加速している状況だ。
では、シェアサイクルはいつからどこで始まったのか。
国土交通省の資料には、1960年代半ばにオランダのアムステルダムが起源と記されている。当時は施錠せずに誰もが自由に使えたため、盗難や車両の破壊が起こり計画は頓挫しまったようだ。