
本田技研工業(ホンダ)は10月29日、東京ビックサイトの「Japan Mobility Show 2025」で自社開発の再使用型ロケット実験機を公開した。
6月に北海道・大樹町で実施した垂直離着陸実験で実際に使用した機体そのもので、表面には塗装の剥がれなど打ち上げ時の痕跡も残る。とはいえ全体的には目立った損傷もなく、実際に空を飛んだとは思えない外観だった。
再使用型ロケット実験機の
離着陸実験に成功本日、自社開発の再使用型ロケットの実験機を用いて、Honda初となる高度300mまでの離着陸実験を行いました。
今回の成功により、再使用型ロケットの研究段階を一歩進めることができました!… pic.twitter.com/IGxMxZ5RyN
— Honda 本田技研工業 (@HondaJP) June 17, 2025
Align=”center”>
実験機は全長6.3m、直径85cm、重量900kg(燃料を除く)。6月の実験では目標高度300mに対し、実際の到達高度は271.4m、着地位置の誤差はわずか37mだった。飛行時間は56.6秒で、離陸から着陸まで自律的に姿勢と速度を制御し、再使用型ロケットに必要な要素技術を検証した。
ブースの担当者は、「モビリティ分野で培った制御技術がロケットでも有効であることを確認できた」と説明する。一方で、「物を運ぶ段階になると、機体を何倍にも大型化する必要があり、それが次の大きなハードルになる」と今後の課題も語った。
ホンダは従来どおり、2029年にサブオービタル(準軌道)到達を目指している。実現すれば、宇宙へのペイロード投入も視野に入るという。将来的にはペイロードを搭載して大気圏外まで運ぶことを目標に、姿勢制御やフラップ制御などの開発を進め、モビリティで培った技術を宇宙分野にも応用していく方針だ。
「どんな困難にも挑み続ける」
三部敏宏社長は「今回展示しているのは、6月の実験で実際に使用した実機そのもの。ホンダが目指すのは、再使用可能な機体と再生可能燃料を組み合わせた、環境負荷の低い“サステナブルロケット”だ」と語る。
さらに「実験では計画通りの制御飛行を実現できた。これは自動運転や航空機開発で培った技術の総合力、そして挑戦を続けてきた従業員の情熱の成果だ」と振り返り、「ロケット開発はまだ始まったばかりだが、これからもどんな困難にも挑み続けたい」と意気込みを示した。
