
2026年1月1日に施行予定だったテキサス州の新法について、連邦地裁は「違憲となる可能性が高い」と判断し、予備的な差し止めを命じた。
テキサス州で成立し、2026年1月1日に施行される予定だったアプリストア向けの新たな規制法が、連邦裁判所の判断により一時的にストップした。問題となっていたのは、アプリストアに年齢確認の仕組みを義務付ける州法だ。
Texas Tribuneの報道によると、差し止めの対象となったのは、上院法案2420(Senate Bill 2420)、通称「Texas App Store Accountability Act」。米連邦地裁のロバート・ピットマン(Robert Pitman)判事が、同法の施行を止める予備的差し止め命令を出した。
ピットマン判事は決定文の中で、この法律について「規定の範囲が広く、内容も曖昧で、違憲となる可能性が高い」と指摘した。一方で、裁判所として「子どもがデバイスを利用する際の安全性を高めようとする取り組み自体の重要性は理解している」とも述べ、立法趣旨そのものを全面的に否定する姿勢ではないことも示している。
問題の州法は、グレッグ・アボット(Greg Abbott)知事が5月に署名して成立した。AppleやGoogle、Nintendo、Steamなどを含むアプリストア運営事業者に対し、ストア上で年齢確認の仕組みを構築することを義務付け、未成年者によるアプリのダウンロードについては、保護者の同意を得た場合に限って認める内容となっている。
今回の差し止めは、業界団体のCCIAが10月に起こした訴訟を受けた判断だ。CCIAのステファニー・ジョイス氏は声明で、「この命令は、アプリストアやアプリ開発者、親、そして若年層のインターネット利用者の修正第1条上の権利を守るためのものだ」とコメントした。その上で、「会員企業が提供する多様なツールを活用しながら、親が自らの判断で子どものオンライン利用を見守る権利も保護される」と強調している。
アプリストア責任法の内容とは
この法案を提出したアンジェラ・パクストン(Angela Paxton)州上院議員は、狙いについて「親が子どもを守るために使える、常識的で実効性のある手段を提供すること」だと説明している。また、優先順位の異なる人々から訴訟を起こされる可能性も想定し、司法の場でも耐え得る内容を目指したという。
テキサス州上院法案2420(Texas Senate Bill 2420)は、AppleやGoogleといった大手のモバイルアプリストアだけを対象にしているわけではない。条文では、アプリの開発者や権利者からモバイル端末の利用者に向けてソフトウェアを配信する「ウェブサイト、ソフトウェアアプリケーション、その他の電子的なサービス」全般を含むと定義している。
この定義をそのまま当てはめると、ブラウザゲームへのリンクを掲載するサイトや、ダウンロード機能を備えた携帯型ゲーム機のストアも、法律の対象に含まれる可能性がある。さらに「モバイル端末」の範囲も広く、スマートフォンやタブレットに加え、無線通信で情報を送受信・保存できる携帯型デバイス全般が含まれる。
保護者の同意に関する規定では、18歳未満の利用者がアプリを購入、あるいはダウンロードするには、親または保護者と紐づいたアプリストアのアカウントを使うことが求められる。
他地域に広がる年齢確認の動き
未成年が成人向けコンテンツに触れるのを防ぎ、子どもを有害となり得る情報や不適切なやり取りから守る目的で、テック企業に利用者の年齢確認を求める動きが、各国で強まっている。こうした対応は、法律による義務付けのほか、訴訟を通じて迫られるケースも多い。
未成年のユーザーが多いゲームプラットフォームのRobloxは、安全な場としての信頼が調査や訴訟によって揺らいだことを受け、より厳格な年齢確認の導入を段階的に進めている。政府によるオンラインコンテンツ規制の例としては、オーストラリアが最大規模のケースの一つだ。オーストラリアでは12月から、SNSの利用を16歳以上に制限する制度が始まり、これに対してRedditが最近、法的な異議を申し立てた。
米国では、年齢確認を義務づける法律の主な対象は、これまで成人向けサイトに限られてきた。テキサス州にはすでに、成人向けサイトに年齢制限を課す法律が存在し、連邦最高裁は6月の判断でこれを支持している。英国でも同様に成人向けサイトへの年齢制限ルールが施行されており、米国内の他州でも同種の規制が広がりつつある。
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この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。