
ソフトバンクは12月10日、モバイルネットワークに関するメディア説明会を開催し、同社がここに来て「5G SA」エリアの拡大に注力する背景を説明した。LTE(4G)設備の稼働から十数年が経過し、老朽化対策として5G SAへの本格移行が不可欠だと強調する。
モバイル&ネットワーク本部 本部長の大矢晃之氏は「5G SAに移行しないとLTEをやめられない。LTEは提供から十数年が経過して設備も老朽化している」と述べた。
現在主流の「5G NSA(Non-Standalone)」方式は、LTEのネットワークやコア設備を利用し、その上に5G周波数をアドオンする形で提供されている。そのため、まずLTEに接続できなければ5Gに繋がらないという制約がある。
一方、ソフトバンクが拡大を急ぐ「5G SA(Standalone)」方式は、5G専用のコア設備とネットワークを利用し、5G単独で通信サービスを提供できる。「真の5G」とも呼ばれる。5G SAエリアが十分に広がり、対応端末も普及すれば、LTEを停波できることになる。
大矢氏は「LTEへの追加投資はしたくないが、LTEの通信品質が5Gのボトルネックとなることだけは避けたい」とも説明。5G SAエリアを拡大する意義を強調した。
5G SAは「超低遅延」「超多接続」といった次世代ネットワークとしての価値が注目されがちだが、今回は既存インフラ更新という現実的な理由も大きいことが示された。
5G SAの整備は競合各社も加速しており、KDDIは2026年3月末までに人口カバー率90%を目指す方針を示している。
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