
Disneyは、AI動画向けに自社キャラクターのライセンスを供与する10億ドル(約1500億円)の契約をOpenAIと結ぶ一方で、Googleへの追及も強めている。The Walt Disney Companyは米国時間12月10日、Googleに停止通告書を送付し、GoogleのAIモデルが自社の著作権を「大規模に」侵害していると主張した。
「GoogleのAIサービスは、Disneyの知的財産にただ乗りするように設計されている。Googleは、競合他社が利用しているような著作権侵害を軽減または防止するための技術的措置が容易に利用可能であるにもかかわらず、その導入を拒否してきた」と書簡には記されている。「それどころか、Googleは商業的利益のためにDisneyの著作権を直接搾取し続けている」
GoogleはAI製品の大幅な刷新を行い、「Gemini 3」をリリースした。これには、人気のAI画像生成モデルの第2世代となる「Nano Banana Pro」も含まれている。2025年は、クリエイティブなAIツールの人気と能力が飛躍的に向上した年だ。
新しいモデルによって、ユーザーは本物のようなAI画像や動画を作成できるようになった。この能力は以前から著作権や知的財産の保有者を悩ませてきたが、2025年のAIモデルの改良により、その懸念はいっそう顕著になった。多数の知的財産を保有するDisneyは、こうした法的・倫理的論争の中心的存在となっている。
書簡では、Googleが市場リーダーとしての地位を利用してAIコンテンツを作成・拡散していることに対するDisneyの懸念が説明されている。YouTubeを保有するGoogleは「侵害作品で市場をあふれさせ、Disneyの著作物の違法かつ有害な搾取から莫大な利益などの価値を得ている」という。
Disneyは数カ月前にGoogleに懸念を伝えたものの、同社が何の対応もしなかったため、停止通告書の送付に至ったとしている。Googleの広報担当者は、「当社はDisneyと長年にわたり互恵的な関係を築いており、今後も協議を続けていく」とコメントした。また、GoogleはAIの構築にオープンウェブ上のデータを使用しており、Google検索やYouTubeには著作権管理機能があるとも述べた。
Disneyは、UniversalやWarner Bros.とともに、同様の侵害の懸念からMidjourneyを提訴しており、同社を「盗作の底なし穴」と呼んでいる。今回の通告書にあるDisneyの不満は、GoogleのAIモデルで「ダース・ベイダー」など著作権で保護されたキャラクターに酷似したコンテンツを作成できてしまうという、同様の問題に関するものだ。しかし、DisneyはGoogleに対して警告する一方で、OpenAIなどの企業とはライセンス供与の機会を模索してきたことになる。
12月11日、DisneyはGoogleの最大の競合の1社であるOpenAIと10億ドルの契約を結んだと発表した。この契約により、OpenAIはマーベル、ピクサー、スター・ウォーズを含む200以上の象徴的なDisneyキャラクターをAI画像や「Sora」の動画で使用する許可を得たことになる。
この契約によってDisneyはOpenAIの「主要顧客」となり、Disneyの従業員に「ChatGPT」が提供されるほか、「Disney+」には一部のSora製AI動画が配信されることになる。これは、Disneyがこれまで取ってきたAI関連の法的措置とは著しく異なるアプローチだ。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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